1972年にリリースされた1枚目のアルバム「ロキシー・ミュージック/ロキシー・ミュージック(限定盤/SHM-CD/HDCD)…」は、時代の本流に拘らず、常に前衛的な要素を取り入れて、美しいメロディーを重視しながら音楽にイメージやファッションの美的センスを巧みに融合させた独自のアーバン・ロックスタイルを確立し、大人のニューウェーブ・ロックサウンドに仕上がっています。
アート・ロックからプログレッシブ・ロックを経て、グラム・ロックブームを巻き起こす一翼を担う退廃的なネオ・ロマンティックな音楽性とアバンギャルドな演奏にゴージャスでグリッターなコスチューム、派手なメイクのアンドロジナスな(現在のトランスジェンダー・スタイル)ファッションが特徴になります。
1982年リリースされた8枚目「Avalon」以後は2度目の解散に至りますが、初期のプラスティックな音を使いながらもゆったりと残響音が広がる緻密なアレンジと丁寧なミックスを重ね、洗練されたアーバンなチルアウトサウンドに仕上がっています。1曲目”More Than This”はヨーロピアンにメロディーラインを形成した上質で前衛的なポップサウンドながら非常に耳に残りやすく、ラストアルバムのタイトルにもなっている3曲目”Avalon” は、控えめなエキゾチック・ビートとサビの女性コーラスの美しさが印象的なナンバーです。ロキシー・ミュージックは何度も解散を経て再結成されていますが、駄作と呼ばれるアルバム作品が無いので音楽好きの方にはすべておすすめしたいと思います。
目次
Talking Heads
1974年ニューヨークで結成された4人編成のアングラでアート志向なインテリロックバンド、トーキングヘッズ。
特にヴォーカルのデヴィッド・バーンの特異なヴィジュアル効果を放つステージと独特なファッション性にインパクトのあるインディーパンクバンドでありプロレベルの演奏技術はありませんでした。
ただ、素晴らしい点は自分たちの演奏可能な範囲で最大の創意工夫とアイデアでもって独自のリズム感覚(グルーヴ)を体得するに至ったことです。
類似性のあるミュージシャンとしてはThe Clashを挙げることができます。その積み重ねが着実に実を結び始めた作品が2枚目のアルバム「More Songs About Buildings and Food」、そして3枚目のアルバム「Fear of Music」で覚醒します。
1980年にリリースされた4枚目のスタジオアルバム「【輸入盤】TALKING HEADS トーキング・ヘッズ/REMAIN IN Light」は、アフリカン・ ビートとロックを融合させた80年代を代表する作品です。
作品自体は、リズムからのアドリブをつなぎ合わせて完成させていたり、ワンコードで作曲されたそのミニマリズム、テクスチャを用いたのちのヒップホップ的ともいえるサウンド構築、プロデューサーのブライアン・イーノのアレンジワーク、一流のスタジオ・ミュージ シャンであるエイドリアン・ブリューの怪奇なギタープレイをはじめとする名手のサポ ートミュージシャンを大々的に取り上げて制作したアルバムという印象を受けます。
このアルバム作品の中では前半4曲1曲目”Born Under Punches(The Heat Goes on)”、2曲目”Crosseyed and Painless”、3曲目”The Great Curve、4曲目”Once In a Lifetime” のアフロビート、ファンク、ポリリズムをロックのメソッドで飲み込んだ画期的な楽曲をおすすめします。
Spandau Ballet
1979年にロンドンで結成された5人編成のロックバンド、スパンダーバレエ。
1980年のデビュー直後はニュー・ロマンティックを意識したサウンドとファッションが織りなすビジュアルイメージでプロモーションを展開していましたが、早めにシフトチェンジして独自のサウンドを切り開くことに成功しました。
1983年にリリースされた3枚目のアルバム「True」は、ブラックミュージックをベースにしたモダンなセンスとトータル性を重視した作品です。
一言で表現すれば大人のムード漂うダンサブルなAORという印象があります。
アルバムの中で6曲目”Heaven Is a Secret”は、アップテンポで少しファンキーなナンバーですが、ベーシストのスラップを多用したノリノリ感やパーカッションも効果的に取り入れられたなかなかの佳作です。7曲目”Foundation”は一番アップテンポでエレポップ風なサウンドですが、エモーショナルなヴォーカルが普通のエレポップにはさせない表現力があります。ラストの8曲目”True”はとてもシンプルなスローバラードなナンバーですが、間奏に入るサックス・ソロが都会の夜にこだまするような曲全体が持つモダンでアダルトな雰囲気を助長しているのでおすすめします。
このアルバム作品がリリースされた時代の音楽制作(1980年代以降)は、15・16曲という曲数が収録されていました。最初の前半1曲目・3曲目あたりまでに良い曲を集中させ、後半は捨て曲で埋めるという構成が主流でした。この手法だとリスナーはアルバム全体を聞く気持ちにはなりません。
しかし、現在では考えられない構成ですがこのアルバムは8曲しかないからこそ、構成が生きています。つまり、最後に一番良い曲を持ってくるということは、最後までリスナーを飽きさせずに聞かせる自信があるという現れなのです。
1970年代以前のアーティスティックな精神を伝えるアーティストとして彼らのようなバンドを大きく評価したいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。