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風街ろまん – はっぴいえんど
まずはこのアルバム。まさに日本のシティポップの黎明期に燦然と輝く名盤がはっぴいえんどの「風街ろまん」です。このバンドなくしては今の日本のシティポップは成立していないといっても言い過ぎではありません。
この作品を聞き、もしかしたら風街ロマンはシティポップと呼ぶには作品的にはロック寄りだとか、カントリー的だとか感じるかもしれません。しかし、細かな要素を聴いていくと、まさに現代のシティポップに通じる方法論がいたるところで展開されています。
特に、代表曲である「風をあつめて」は今でも多くのアーティストがカバーしている名曲。素朴なメロディに胸をキュンとさせるノスタルジックな魅力があります。他にも「夏なんです」など、今聞いても全く色あせない名曲ぞろいのアルバムです。シティポップに興味を持ち始めた方にぜひ聞いてもらいたいアルバムです。
RIDE ON TIME – 山下達郎
シティポップの代表者といえば大瀧詠一が外せませんが、山下達郎を推す人も多いのでは。山下達郎はシュガーベイブで活躍後ソロデビューしてましたが、このアルバムまでは特に大きな話題とはなっていませんでした。しかし、シングルカットされたRIDE ON TIMEが日立マクセルカセットテープのCMのBGMに使用され、この曲は青く澄み切った海と山下達郎の澄み切った高音と出だしからサビまでの臨場感、美しいメロディラインと素晴らしくマッチングしていいました。
この「RIDE ON TIME」が収録されているアルバムの「RIDE ON TIME」こそがソロシンガーとしての山下達郎を一躍メジャーにしたと言っても過言ではありません。もちろん「SILENT SCREAMER」など他にも素晴らしい楽曲も収録されていますが、シングルカットされたRIDE ON TIMEは現在でもなお使用されることも多く、色褪せない名曲。ぜひ聞いてみてください。
Reflections – 寺尾聰
全10曲の楽曲を寺尾聰本人が作曲しています。おそらくは旋律から先に作られて行ったと想像されますが、一ミュージシャンであるのにかかわらず作曲のプロ顔負けの多彩な曲調の作品を書いていることには毎度驚かされます。井上鑑をはじめとする腕利きのスタジオミュージシャンが集結、その中でむしろ感情を出さずに、語りかけるような寺尾の歌い方がむしろ新鮮に感じます。
アルバム「Reflections」はどの楽曲をとっても、1981年当時にイメージされていた男と女のクールな恋と、そのはかなさを描いています。アルバムの冒頭の「HABANA EXPRESS」は、海辺で過ごすカップル。「予期せぬ出来事」では、男性が心ひかれた女性をパーティーから連れ出します。「渚のカンパリ・ソーダ」は海辺でひりひりする男性の片思いを歌います。「SHADOW CITY」は、別れを決めたはずの女性に対する、どうしようもない未練が歌われます。「ルビーの指環」も、別れた過去の女性を追憶しています。この中に入ってしまうと、このアルバムの世界観にまるごと包まれてしまって、大ヒット曲であったことを忘れさせてしまうくらいです。どの楽曲を聴いても、その恋が必ず別れを迎えるであろう雰囲気がただよいます。これは作詞の有川正沙子・松本隆の力量によるものでしょう。
そして、最後の楽曲「出航(SASURAI)」で、今までの恋を吹っ切って生きる決意をする男性。この曲がなければ、未練たっぷりの後ろ向きな男性を描いた、情けない楽曲の並んだアルバムで終わってしまいますが、ここで新しい一歩を踏み出したことで「自分も失恋ばっかりしているけれど、一歩踏み出そうかな」と、どれだけの人が(女性も含めて)背中を押されたことでしょうか。寺尾聰を聴く上で最も聴きごたえのある、ストーリー性に溢れた1枚となっています。
SONGS – シュガーベイブ
このアルバムを抜いて、日本のシティポップは語れないといえる奇跡的な一枚です。なんといっても今のポップスのグルーブをすべて持っているといってもいい心地よさが一番の特徴。もう、何十年の前のアルバムですが、全く色あせるどころか新鮮にすら感じる出来です。
特に「今日はなんだか」という曲は今リリースした作品といってもいいほど完成度が高く、爽快に駆け抜ける感じは何度も飽きない心地よさがあります。さらに、「DOWN TOWN」という曲はいまだに多くのアーティストがカバーするほどの名曲です。この2曲を聞くだけにアルバムを購入しても価値があるといえる一枚です。まさに、日本のシティポップシーン、ミュージックシーンの源流を確認することのできる一枚だといえます。
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