シティポップの名曲10選 1980年代の名曲から現代の名曲まで一挙紹介

アルバム「VISITORS(Blu-spec CD2) [ 佐野元春 ]」のオープニング・チューン。本作を作るにあたり、新しいサウンドを求め、佐野元春は単身ニューヨークに渡り、制作スケジュールの管理・現地のミュージシャンのブッキングなど自身でプロデューサー業を兼務したといいます。異国での長期生活と求めるクオリティの高さなどで精神を削りながら生み出された力作は、サウンド・歌詞双方で本人の大きな転換点となっています。

まず、サウンド面ではBruce Springsteenを思わせるものから一転、ファンクやディスコ・サウンドを主体にしたタイトで強烈なビートを土台にしたソリッドな音を手に入れています。また、歌詞においては、ラップを取り入れたことでメロディに制約されず使える言葉数が多くなりました。それに伴い、歌詞の表現が人物の心情を歌うという従来の手法から街の風景や住人たちの群像劇を絵画的に描写するアプローチに変化しています。

特にこの曲では夜のクラブシーンでの熱狂、Charles Bukowski的な猥雑さ、節操の無さなど、80年代ニューヨークでの華やかな都会生活の喧騒や軽薄な空気感を、真空パックで閉じ込めて持ち帰ってきたかのように現地の感覚がそのまま伝わってくるかのようです。

後に、言葉と作詞を深く追求し母校で講義をもったり番組で対談をするなど、言葉にかなりセンシティブな彼の独特な感性の開花を感じられる一曲です。

 

透明ガール – Nona Reeves

「キングオブポップ」マイケル・ジャクソン研究家として一時引っ張りだこだった西寺郷太がフロントマンのバンドということもあり、ノーナリーヴスの曲はどれもポップの王道を突っ走っていて、とにかくキャッチ―です。

特にこの透明ガールは、イントロだけで一気に心を踊らされてしまいます。シンプルなメロディーと「ラララ」のリフレインはとても覚えやすく、一緒に口ずさみたくなるので、ライブで大合唱する光景が目に浮かびます。曲調も爽やかな夏を感じさせ、オープンカードライブにぴったりな雰囲気はまさにシティポップを代表する1曲といえるでしょう。

今や20年以上のキャリアを持つバンドですが、今でこそもっと広く知られるべきバンドですし、シティポップを好む方であれば絶対このような曲が好きな人は多いはずです。

アルバム「POP’N SOUL 20 THE VERY BEST OF NONA REEVES [ ノーナ・リーヴス ]」に収録されています。

 

Summer Soul – cero

2010年代の日本のシティポップシーンを語る上で絶対に外す事のできないバンドが「cero(セロ)」です。現代のシティポップというジャンルがブレイクするよりもずっと前から活動を続けていたceroは時にはフルートやクラリネット、トランペットを交える事によって他のバンドには真似のできない唯一無二の存在感を放ってきました。

そんなceroを一躍有名アーティストに押し上げたのが「SMAP×SMAP」への出演。SMAPメンバーが元々ceroのファンだったことにより実現したようですが、お茶の間にシティポップが浸透するきっかけともなったのではないでしょうか。中でも2015年にリリースされた「Summer Soul」は肩肘を張らず、ゆるやかで自然体なのに洗練されているceroの魅力が存分に詰まった一曲です。

収録アルバムは「Obscure Ride [ cero ]」。アルバムを通してシティポップを感じられるラインナップに仕上がっています。

 

THANK YOU FOR THE MUSIC – bonobos

なんと言っても特筆すべきはヴォーカル蔡忠浩の声の良さと歌唱力の素晴らしさではないでしょうか。もちろんその歌声を支えるメンバーの技量も素晴らしく、リズム&グルーヴを担うドラム梅本浩亘のフィルは日本人離れしたグルーヴ感で後ろノリの心地よさを体感させてくれます。

ギター小池龍平のフレージングやリフも無駄がなく、ソロパートでは本人のルーツであるブラジル音楽が基礎にあることを感じさせないくらいオシャレでアツいフレーズを奏でます。レゲエを基礎としながらも、バンドとしての音楽性は幅広く挑戦的で独自の路線を突き進んでいることも必見です。楽曲自体はポップでキャッチー、言葉選びのセンスも素晴らしくメロディーはなぜかどこか懐かしい気持ちを思い起こさせてくれるでしょう。