以前までは、路上での弾き語りやライブハウスへの出演がシンガーソングライターとしての活動をスタートする道でしたが、最近ではネットの普及により、Web上でも楽曲を発表することが可能になりました。SoundCloudなどの音楽共有サービス、またYoutubeやニコニコ動画など、動画配信サービスの普及により、その活動形態は革命的に加速していったと言えます。
シンガーソングライターとして活動するには、様々なスタイルや方法があります。
先程、従来の手法よりも売れるための方法が増えたと述べましたが、あくまで自身に合っていなければ意味がありません。合わない方法を続けても、ストレスが溜まるだけですし、手法が増えたとしても、すぐに売れる才能溢れるアーティストは、ほんの一握りです。
シンガーソングライターを目指す方は、どうか、手探りでいいので自分に合った方法を試していってください。
目次
シンガーソングライターの収入事情
さて。次は気になるシンガーソングライターが、職業としてどう収入を得ているかを考えていきましょう。
プロデビューし、曲が売れてメディアに露出したり、大きなドームでライブをしたりと、その道一本でゆるぎなく生きていけるようなシンガーソングライターになるには、バンドや歌手など他の形態のアーティストと同様に、一筋縄ではいかない道であると言えるでしょう。
しかし、シンガーソングライターの魅力の一つは、
「他のアーティストに楽曲提供をできる」
という点です。それにより、個人での活動以外にも収入源が発生することが可能になり、合わせると多額のギャランティーを得ているシンガーソングライターはバンド活動をしているアーティストよりも多いと言えるでしょう。作詞作曲を手がけるシンガーソングライターの場合、著作権は本人にあるので、著作権料や印税も収入に含まれてきます。
一方で、事務所に所属してプロデビューという形ではなく、個人で活動しているシンガーソングライターの場合はどうでしょうか。
ライブハウスなどで個人で活動されているシンガーソングライターの方も多いと思いますが、ここではWeb上での活動をメインにしているシンガーソングライターのケースを考えていきましょう。
シンガーソングライターの動画配信サービスでの活動一例
今や中学生のなりたい職業ランキングにYouTuberがランクインするほどの盛り上がりを見せる、動画配信サービス。先に名前を挙げたシンガーソングライターの米津玄師も、元はニコニコ動画にボーカロイドに歌わせた楽曲をアップし、人気を博したのち本人としてデビューしました。
また、近年発表された「showroom」という動画配信サービスでは、インスタグラムのライブ機能のように、リアルタイムで視聴者から送られたメッセージが表示される画面になっています。これにより、リアルタイムで相互に反応を感じることが出来、さながら空間をともにしてライブをしているような感覚を得ることができます。
さらに、このサービスの画期的な点は、視聴者が気に入った配信者にアプリ上で有料のアイテムを送ることができるシステム。これにより配信者は、実際に金額を得ることが可能になっています。それによって、プロデビューをしていなくても、プロのアーティスト顔負けの額面で月々に収入を得ている配信者の方もいらっしゃるようです。
ビックアーティストになるのは限られた道かもしれませんが、昔と比べると、格段に発表の場が増えているシンガーソングライターの世界。
本気で収入を得られるシンガーソングライターを目指すには、ご自身に合って、続けていけそうな方法を選ぶのが1番でしょう。
最近のシンガーソングライターおすすめ3選
最後に、今回紹介したような様々な手法を取り入れ、現在ブレイク間違いなしのシンガーソングライターを3アーティストピックアップしたいと思います。
iri
神奈川県逗子出身。2017年現在23歳とは思えない、ボトムの効いたアダルトな力強い声、堂々とした楽曲の内容に、各方面からラブコールを受け注目を集める女性シンガーソングライター、iri。2016年には新人アーティストながらサマーソニックに出演を果たすなど注目の高さを見せ、同10月に満を持してメジャーデビュー、1stアルバム「Groove it [ iri ]」をリリース。2017年2月には書き下ろし楽曲”watashi”がNIKEのキャンペーンソングに抜擢されています。
その音楽性のルーツは、J-POP・洋楽などから幅広く影響を受け、ギターも独学で勉強したそう。ボサノバのようなギターづかいも、時に見せるヒップホップ要素のあるようなリズム感のリリックも、自然体なままあらゆるジャンルや価値観をオーバーラップしながら呼吸し、楽曲にしていくような、今の時代を生きる女性の佇まいが感じられる注目のビッグアーティストです。
Åsgeir (アウスゲイル)
ビョーク、シガーロスなど世界的なアーティストを生んだ北欧の島国アイスランドで、今最も注目されているシンガーソングライター、アウスゲイル。
自然豊かなアイスランドの中でも、人口40人ほどの小さな町で生まれ育ったというアウスゲイル。2012年に母国語でリリースされたアルバムが、アイスランドの音楽賞で4冠を受賞し、国内が騒然。2014年には、その1stアルバムの英語版「イン・ザ・サイレンス [ アウスゲイル ]」がリリースされ、世界的デビューを果たしました。日本においても、2014年、そして2017年とFUJI ROCK FESTIVALに出演。単独ツアーも行っており、その歌声と存在感で徐々に知られるところとなっています。
深く落ち着いた地声と、裏声を使った囁くような高音とを自在にあやつるボーカルは印象深く、耳に心地いいです。その楽曲は、たとえるならイギリスのエレクトロニカを基調としたシンガーソングライター、ジェイムスブレイクのようで、電子音的アプローチと生音のアプローチが入り混じり、静謐さと希望を感じるようなあたたかさのある音作りの印象になっています。
そして稀なことに、歌詞のほとんどは詩人として活動をされている彼のお父様の詩をもとにしているのだとか!その内容は寓話的であったり物語り的であったりして、彼の音楽にさらに神秘性をもたらしています。1992年生まれという若い世代ながら、人間の中にある揺るがない普遍性を感じさせるアーティストです。
向井太一
R&B要素の強い、グルーヴのあるキャッチーなメロディー。セクシーにもパワフルにも伸びやかな、聴かせるボーカル。そして音作りは、エレクトロやアンビエントの要素を取り入れた洗練されたトラックで、伝統的な音楽性と、現代性が見事に融合しているところが面白いシンガーソングライターです。モデルとしても活動しているという彼の端正なルックスからはイメージもできないほどの、芯のある歌声と、色とりどりなメロディー展開には、才能の豊かさを感じずにはいられません。
福岡県出身の1992年生まれ。両親の影響により幼少期からR&B・ソウル・ファンクなどのブラックミュージックを聴きながら育ったそうで、そのリリックにもメッセージ性があり、ヒップホップのような語感の良さを感じさせます。2010年に上京し、バンド活動を経て2013年にソロ活動を開始。2016年にトイズファクトリーの新設レーベル「MIYA TERRACE」よりメジャーデビューし、1stアルバム「24 [ 向井太一 ]」をリリースしました。
前述した通りパワフルな楽曲ですが、音作りにも歌声にも独特の透明感があり、綺羅星のようなポジティブなエネルギーを感じさせます。ストーリー性がある歌詞、色鮮やかで伸びやかなその歌声に聞き入っているうちに、あっという間に一曲が終わっているはずです。
まとめ
自分の世界観と歌声を武器に、世の中に音を鳴らし続けるシンガーソングライター。
そのスタイルや多様性は今も広がり続け、今この瞬間にも沢山の楽曲が生まれていることでしょう。
シンガーソングライターの音楽に出会うことが好き、という方も、
いつかシンガーソングライターになりたいという方も、祝福あれ!