maco maretsとは 緩く流れるようなラップを展開する21歳の凄腕MCを紹介します

Olive Oil
maco maretsの地元、福岡で活動するDJ/トラックメイカーです。
1997年に単身でアメリカへ渡り、マイアミ、サンフランシスコ、ロサンゼルスなどを渡り歩き、2002年に帰国、雑誌「REMIX」でNujabes(ヌジャベス)に2003年のベストDJに挙げられ、2004年に「LIBYUS MUSIC」、「ROMZ」 のレーベルコンピレーションアルバムに参加、2005年に12インチシングルと、Ramb Camp(ランブ・キャンプ)のFreez(フリーズ)とのユニットであるEl Nino(エル・ニーノ)のアナログをリリースしています。他にも自身作のトラックを収録したミックスCDのリリース、Ramb Camp(ランブ・キャンプ)や、Brainhacker(ブレインハッカー)などのプロデュース、Big Joe(ビッグ・ジョー)の「Lost Dope」のリミックスなど活発な活動を展開しています。
[引用:http://hiphopguide.jp/cgi-local/archives/080japan/394o/000355.html]

そんな彼の特徴は、自然なトラックメイキング。有名曲をサンプリングしながらも、違和感なくラップの中に溶け込ませる技術は秀逸です。そのためか、上記の5lackやKOJOE、FREEZEなどと数多くのコラボ作品を制作し、好評を博しています。
maco maretsも「地元・福岡で遊んでいる時とか、いつもOliveさんのビートがかかってて。この曲もめちゃくちゃリピートして聴いてました。「とりあえずヤバい」みたいな。そんな感覚は忘れられないです」と語っており、若かった彼の心に大きな衝撃を植えつけた人物と言えそうですね。

以上、3アーティスト。それぞれ特徴の違うミュージシャンではありますが、maco maretsが彼らを評して「うるさくなくて、サラっとしていて、かろやかなユーモアもあって。それでいてタフなマインドを併せ持っているような…そんなスタイルに憧れます」と言うように、彼の音楽に対する姿勢に多大な影響を与えていることは間違いないですね。そのスタイルはそのまま「Orang Pendek」という作品に落とし込まれ、彼の憧れを体現しています。

おすすめアルバムを紹介

「Orang Pendek」
maco maretsの記念すべきファーストアルバムです。「波よせて」などの楽曲で知られるSmall Circle of Friendsの東里起が全面プロデュースを担当し、実直なフロウと緩やかに展開するメロウな曲調で構成された全10曲は、maco maretsが何者であるのかという事を十二分に伝える強烈な名刺となっています。

アルバム楽曲紹介

Room 203

オープニング曲。クリックに加わる楽器はピアノのみのシンプルな構成です。そのピアノも強く主張する事はなく、あくまで主役は、maco marets のラップです。その語られる内容は、いつもの朝の風景。寝ぼけまなこで起き出して、朝食を食べながら、お気に入りの音楽を聴く。そこにびっくりするような事件は一切登場せず、歌詞通り「一日のルーティーン」の曲です。しかし、つい聞き入ってしまう魅力を持っています。それは、彼の言葉選びのセンスと、丁寧に踏まれる韻。そして、何よりこうしたゆるやかな日常を表現するのに彼の声がとてもマッチしているからでしょう。

S.N.S

ジャジーな曲調で構成される曲です。BGMの雰囲気に反して、フロウの内容は社会批判を中心とした尖がったものです。ある意味、ヒップホップの王道とも言える歌詞内容は「こういう事もちゃんとできるんだよ」という彼の主張のようにも感じます。

Leakage

ターンテーブルを中心とした音作りで、ヒップホップらしい曲と言えますね。ようやく、というかスクラッチも登場します。サビのリフレインは、盛り上げるように歌って観客とシンガロングできそうなメロディーですが、本人にそんな気はさらさら無いらしく、雰囲気を保って静かにフロウしています。アルバム全体の色を考えるならば、確実にこちらの方がしっくりと馴染むので、安易にテンションを上げない彼のスタイルに思わず感心してしまいます。本当に20代なんでしょうか(笑)?

Crunky leaves

リバーブの効いたギターのアルペジオに合わせてメロウに展開する曲です。サビは半分ラップ、半分歌のような静かな旋律が繰り返されます。メロディーに変化があっても、曲の雰囲気に変化はなく、丁寧なフロウに徹しています。歌詞にあるように、まさに『枯れ葉を踏むようなリズム』で、せつなく静かに刻まれていく良曲ですね。

sutekina

管楽器、ウッドベースと、ジャズを思わせる楽器構成ですが、そのサウンドはこのアルバムのプロデュース務め、maco maretsも敬愛している東 里起(Small Circle of Friends)を彷彿とさせるもので、開放的にさわやかに展開します。2分程度の短い曲ですが、十分に存在感のある曲ですね。

Peppermint

一転して、ギターアルペジオのみのシンプルな構成です。このアルバムでは珍しく決まったメロディーのあるサビが登場します。かといって、変に歌ものような曲になってしまう事はなく、しっかりとラップを披露した後にアクセントを付けるように歌に移行するので、むしろ楽曲にしまりがでて良い塩梅のアレンジになっています。

under the bed

この曲の聴きどころは、何といってもライムでしょう。日本語歌詞と英語歌詞を絶妙に混ぜて丁寧に韻を踏んでいきます。sutekinaよりもさらに短い1分程度の曲ですが、ラッパーとしての彼の地力が見える曲ですね。

XL

(彼にしては)速足のラップで展開される曲ですが、後ろで流れる演奏は静かなジャズであり、しかもウッドベースもピアノも拍子にかっちりと合わせず、かなり自由な演奏をしています。しかし、こんな不安定なバックミュージックの上でも彼のラップは難なく乗りこなしていきます。アルバム全体にも言える事ですが、彼の曲はラップを抜くとヒップホップを全く感じさせない曲構成がとても多いです。聴き始めは、ラップをするには曲が合わないと感じますが、終わる頃には「これがベストだ」と納得させてしまう力業は、他のラッパーと比べても異質な才能と言えますね。