引用:FLOOR
「アルバム全体を通しても」という言葉がありましたが、他の曲の歌詞にも同じような「恐怖」があると語っていますね。
このことから「まわりが変わってしまう恐怖」が、yahyelの歌詞のなかでひとつのテーマでもあるとも捉えることができるでしょう。
yahyelの支持者
ネットでの情報が少ないyahyelですが、ツイッターではyahyelについてつぶやいているリスナーが日ごとに増えています。こちらではその一部を紹介したいと思います。
yahyel、何か賛否両論あるけれど、俺は好きだなぁ…。ちょっと、クオリティ高過ぎてビビるけど。しかし、その才能が羨ましい。逆に音楽止めたくなる、こういうの聴くと。
— uzak (@xxx_mirage_xxx) 2017年3月6日
「賛否両輪があるほどのバンドである」ということは少なからず注目されている証拠でもあるでしょう。
彼らが目指しているスタイルは日本人すべてに必ず支持されるありふれたバンドになることではなく、音楽をしっかりと聴く新しい耳を持ったコアな音楽ファンに理解されることなのだと想像できます。
また、海外でも多くのライブを成功させている彼らですが、そのライブについて驚かされることは「MCまですべて英語である」ということ。メンバーの多くが帰国子女である彼らにとっては当然とは思いますが、言語の壁に悩まされるアーティストは多いはず。海外市場で戦っていく上で現地のリスナーやレコーディングエンジニア、音楽レーベルなどと対等に話せるということは大きなアドバンテージでしょう。
歌詞だけが英語、という中途半端さは彼らにはありません。
こだわり抜いた「作品」と呼べるyahyelの世界観には英語は切っても切れないものと言えるでしょう。
そんなyahyelの世界観を感じるために、英語がわからない人も歌詞カードを見ながらぜひ聴いてみてください。
目次
経歴
2015年
3月 結成
5月 自主制作EP『Y』をリリース
2016年
1月 ロンドンの老舗ROUGH TRADEを含む全5箇所での欧州ツアーを敢行
2月 両A 面7インチ「Fool / Midnight Run」リリース
7月 フジロックフェスティバル「ルーキーアゴーゴー」ステージ出演
9月 「Once / Flare」リリース
10月 METAFIVEワンマン@恵比寿LIQUID ROOMにオープニングアクト出演
11月 1st アルバム「Flesh and Blood」をリリース
おすすめアルバム
Flesh and Blood
2016年11月23日リリース。海外レーベル、Beat Recordsからリリース。
マスタリングは、エイフェックス・ツインやアルカ、ジェイムス・ブレイク、フォー・テット、FKAツイッグスを手掛けるマット・コルトンが担当しています。
海外レーベル、著名エンジニアが関わっていることからも分かるように、一アルバムとしてかなりクオリティの高い作品となっています。結成して間もないにも関わらず、全ての楽曲の一音一音に拘った音作りは圧巻です。
最新アルバム「Flesh and Blood [ yahyel ]」の収録曲や評価はこちら
おすすめしたい曲
「Once」
本人たちによると、映像までを含めて楽曲が完成するイメージがあるとのことで、yahyelを初めて聞く人にはMVの公開されているこの曲がおすすめです。映像はメンバーでもある山田が制作。映像効果もどこかグロテスクで、音像の生々しさと世界観で統一が図られています。音楽として注目されがちなメロディーや歌詞だけでなく、楽器の細かい一音一音や楽曲と映像との相関性にも注目したい一曲です。
「Midnight Run」
中心メンバーである、池貝・篠田・杉本が知り合った初日に制作した曲で、yahyelの曲の中では比較的メロディアスな曲。池貝の歌の良さがストレートに出ていて、心地良い楽曲です。ただし、R&B的なエモーショナルな成分だけではなく、リズムの効いたビートが途中から重なってくる様には、現在の音楽の潮流をしっかりと把握し表現していることを汲み取ることができます。
yahyel好きにおすすめのアーティスト
Robert Glasper
ビートトラックという側面をより推し進めていっているのが現代ジャズのシーン。yahyelが取り入れている、ゆらぎのあるビート、これを全て生演奏で表現していることで知られるロバートグラスパーの作品を聴くことで、yahyelの見ているビジョンの理解がより深まります。
METAFIVE
高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という豪華なメンバーによるスーパーバンド。無機質なサウンドは似ているが、あくまでも日本語詞であることや、各メンバーの個性が凝縮されている点などがyahyelとは異なる。最新の音楽性を発揮している両バンドを聴き比べるのも非常に面白いでしょう。
向井太一
1992年生まれ、ファッションモデルとしても活動している気鋭のシンガー。最新アルバム「24」では、yahyelが共同プロデュースした楽曲が収録されています。オルタナティブR&Bと呼ばれる音楽性は、yahyelと共通点も多く、よりメロウで歌モノに近い雰囲気を好む方におすすめです。
最新情報
ONE × BEAMS SHIZUOKA
2017年2月26日 (日) @静岡BLUE NOTE 1988
LIVE:yahyel / ZOMBIE-CHANG / Tempalay
DJ:DJ RIKI
LIGHTING:Taiheichang
★WAR POINT来日公演にゲスト出演
WARPAINT – JAPAN TOUR 2017
2017/2/28 (Tue) 恵比寿 LIQUIDROOM
SYNCHRONICITY’17
2017年4月8日(土) open 12:00 / start 13:00
開催場所:
TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest
まとめ
yahyelは、まだ活動が始まったばかりのプロジェクトであり、音源や活動のビジョンもまだまだこれから進化していく余地を感じさせてくれます。特に、音楽性の中心が、自身の内なる作家性にこだわらず、「いまの世界の流れ」をとらえていることに、これまでにない新しさを感じます。たとえるなら、youtube世代というより、SNS世代というか、尋常ではない情報処理のスピード感を感じます。
バンドを追いかける理由や目的は人それぞれですが、yahyelの場合は、「これからの世界の音楽がどうなっていくのか」、「どんな音楽を聴いているとかっこいいのか」、一つの示唆を提示してくれるバンドとして注目すると、より楽しく音楽を聴くことができるのではないでしょうか。
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参考文献
FIGARO.jp「海外の最先端を意識した、yahyelの音楽(前編)」
SILLY「今の世界基準の音を創造するバンド、yahyelが語るコンセプトとアジェンダ」
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