「ハイスピードでかっ飛ばす」ような勢いに乗せて打ち鳴らされるドラムビート。その上に乗っかるのは、時に哀愁を感じさせ、また時にパワーを与えてくれるようなボーカル・難波のメロディーライン。
聞いた人は、このバンドが持つ「パワフルさ」に圧倒される事でしょう。
目次
ギヤ・ブルーズ – THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
ミッシェル・ガン・エレファントは1991年東京にて結成されたパンクロック、ガレージロックバンド。
続いて、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT。1960年代、1970年代のブルースロックやパブロックを彷彿とさせる音楽、これ以上のハスキーボイスはないのでは、と思わせるボーカル・チバのしゃがれた声がピックアップされることが多いですが、ギター・アベのエフェクターを一切使わず、大音量のアンプから出力される歪みたっぷりのギター、ベース・ウエノの絶妙なリフ、ドラムス・クハラの力強いフィル、リズム隊はどんなにチバとウエノのテンポが早くなろうとも一切パフォーマンスを損なわせることはありませんでした。
彼らは圧倒的なライブバンドとして知られていました。上記のような音楽に夏でも全員黒いモッズスーツという格好は彼らのトレードマークでもありました。
また、案外知られていないのはそのバンド名について。ミッシェル・ガン・エレファントという3つの英単語でつくられたバンド名は1995年〜2000年代に彼らに影響を受けたバンドに真似されました。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが公言している中ではもっとも有名でしょう。
それだけ当時の邦ロックに影響を与えたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、オススメしたいアルバムは「ギヤ・ブルーズ [ ミッシェル・ガン・エレファント ]」という4枚目のアルバム。
”スモーキン・ビリー”、”G.W.D”と2曲のシングルを収録している他、ライブ終盤での定番曲”ダニー・ゴー”で締めくくられています。そして、このアルバムを選んだ最たる理由は、ミッシェル全盛期であるから。1996年、メジャーデビューを果たしてからすぐに人気を火をつけ、解散する2003年までその火は衰えることを知りませんでした。
そんな全盛期の真っ只中にリリースされたギヤ・ブルーズ、ぜひ聞いてみてください。
サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態 – NUMBER GIRL
ナンバーガールは1995年福岡県にて結成されたオルタナティブロックバンド。
皆さんは「98年の世代」という言葉をご存知でしょうか。2000年代後半から音楽を親しんだ方は知らないかもしれません。「98年の世代」とは、1998年ごろにデビューしたバンドの中でも、その後のロックシーンに大きく影響を与えたバンドのことを指します。具体的には、スーパーカーやくるり、椎名林檎、中村一義など。そして、このNUMBER GIRLも98年の世代の一バンドとして、当時のフェスやライブに多く出演し、現在活躍するバンドに多くの影響を与えました。
NUMBER GIRLの特長は、爆音ギターロックの中にある緻密なグルーヴ。リードギター・田渕とリズムギター・向井のギターはアンプが常にフルテンではないか、と思ってしまうほどの爆音、ジャキジャキと耳が痛くなるような音。このようなバンドでは、ベースとドラムは落ち着いており、それが彼らのグルーヴを保っている、のような文言がよくみられますが、彼らの場合、ベース・中尾とドラムス・アヒト・イナザワも十分荒ぶっています。
中尾のベースはこれでもか、と思うくらいダウンピッキングとオルタネイトピッキング合わせて独特の奏法でベースをかき鳴らし、アヒト・イナザワのドラムスはプロでも完璧に習得するのが難しいとされるモーラー奏法を巧みに使い、ダイナミクスレンジの豊かなプレイングを得意としています。
そんな4人の爆音からなぜか生み出されるグルーヴ。これが彼らの魅力かと思います。個々激しいプレイングとは想像がつかないほど、楽器ごとの住み分けを重要視し、メンバーを尊重する音作り・プレイングをしているから成せる業なのでしょうか。
そんなNUMBER GIRLのオススメしたいアルバムは「サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態」。スタジオアルバムももちろんオススメなのですが、少しでもライブが体感できるこのアルバムをオススメします。
このアルバムはNUMBER GIRL最後のツアーとなった「NUM-無常の旅」の最終日の札幌会場でのライブを収録されたもの。ライブアルバムなので全曲通して聞いていただきたいのですが、時間がないという方は最後の2曲”OMOIDE IN MY HEAD”、”IGGY POP FAN CLUB”だけでも聞いてみてください。
これらの曲が好きなら、きっとNUMBER GIRLにハマると思います。
耳鳴り – チャットモンチー
チャットモンチーは2000年徳島県にて活動を開始したガールズインディーロックバンド。
ガールズバンド、そして可愛らしいバンド名ではありますが、デビュー当初から現在まで初期衝動がずっと感じられる、ロックバンドらしいロックバンドです。今年、2018年にその活動に幕を閉じることを公表していますが、「解散」ではなく「完結」と称しており、やり切ったという感覚をリスナーながら感じることができます。
オススメしたいアルバムは「耳鳴り [ チャットモンチー ]」。彼女たちとしては初のフルアルバムになります。リード曲から最後の曲まで、捨て曲が一切ない濃密なアルバムで、3ピースという編成ながらソリッドなギターの音色など迫力のある演奏を披露しています。
活動初期のアルバムながら、良い意味で粗削りなサウンドや歌詞の世界観などから溢れ出る才能を感じられる楽曲ばかり、気鋭バンドの勢いをそのまま詰め込んだような1枚です。一度聴いたら耳から離れない中毒性を持っており、耳鳴りというタイトルにふさわしいアルバムだと感じました。
特に聞いていただきたいのは8曲目の”恋の煙”から9曲目”恋愛スピリッツ”への流れ。ともにシングル曲としてリリースされたものが収録されていますが、このアルバムを通して聴くと全体を通した流れの中に組み込まれているようで、また違った印象を与えてくれます。
世の中に爪痕を残そうという気迫が曲を通じて伝わってくるような、ロックバンドらしい初期衝動が感じられる素晴らしいアルバムです。
ファンファーレと熱狂 – andymori
アンディモリは2007年東京にて活動を開始したオルタナティブロック・インディーロックバンド。
andymoriもどちらかと言えば丸みのあるバンド名、3人の柔和な出で立ちからは想像がつかないほど熱い音楽を世の中にリリースしてきたロックバンドです。奇しくも2014年に解散、解散理由はフロントマンである小山田壮平が「このバンドでは次にやりたいことができないから」と発言したことが挙げられています。
ただ、小山田とベース・藤原、旧メンバーでありドラムスの後藤はALというバンドにて活動を続けており、andymori好きのファンにとっては必ずハマる内容の音楽を作り続けています。
今回オススメしたいアルバムは「ファンファーレと熱狂 [ andymori ]」。彼らとしては2作目のオリジナルアルバムです。
1曲目に収録されている”1984”、この曲を聴いただけでこのバンドの持つ世界観に取り込まれてしまい、気づいたら最後まで聴いてしまうような1枚。曲の端々にロックンロールの匂いが感じられ、初めて聴いた曲なのにどこか懐かしいような、ノスタルジックな感覚に、どこか安心しつつも彼らのCD音源からでもわかる「熱さ」からは、座って落ち着いて聞いていられない、そんな気にさせてくれます。
才能は目に見えないものですが、音楽を通じてそれが見えてくるような気分になるほど、魅力的で、圧倒的な曲たちを聴くことができるでしょう。
いくらヒットした曲や話題の曲でも、繰り返しで聴くと飽きてしまい時間とともに色あせていく生もののような音楽も少なくありませんが、andymoriの楽曲はまるで経口補水液のように自然と身体にしみ込んでくるのです。
何度聴いても色あせることなく、輝きを保ち続ける本作のようなアルバムを名盤というのだと気づかせてくれた1枚です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
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