今回は邦ロックの名盤、後世へ残したい・残すべきアルバムについて紹介していきます。
邦ロックとジャンル付けられる音楽は多数ありますので、独断で紹介していきたいと思います。もし、他にもオススメしたいアーティスト・アルバムがあればぜひご連絡ください。
では、邦ロックの黎明期、1970年代から紹介していきます。
目次
風街ろまん – はっぴいえんど
最初に紹介するはっぴいえんどは1969年からわずか3年ほど活動した4ピースロックバンド。細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂と音楽好きならば今でも有名なアーティスト達が在籍していた、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしいロックバンドです。
この「風街ろまん [ はっぴいえんど ]」は日本のロックアルバムの原点にして最高峰のアルバムではないでしょうか。
1971年リリースと昔のアルバムではありますが、今聞いても古さを感じさせず、アルバム一枚するっと聴けてしまいます。そして不思議なことに、時間が経つとまた聴きたくなってしまうのです。
一枚を通して聴いて欲しいので、どれかオススメを一曲を選べと言われると難しいのですが、あえて挙げるなら”あしたてんきになあれ”という楽曲を推します。ファルセットのボーカルとゆったりと体が揺れるようなグルーヴ感は心地よいナンバーです。
このアルバムの他の楽曲にも共通して言えることかもしれませんが、歌詞の世界観が少し不思議でちょっとクスッと笑えるようなところも非常にマッチしています。
いい感じで力を抜いて演奏しているのが、聴き手に伝わってきて気持ちの良いアルバムです。
SONGS – SUGAR BABE
邦ロック黎明期からもう1組、1973年から1976年まで活動したシュガーベイブを紹介します。
平成生まれの方でも有名なメンバーとして山下達郎が挙げられます。シュガーベイブの中ではボーカルを取ることが多く、今の彼の楽曲からも想像できるようなグルーヴィな横揺れサウンドを聞くことができます。同じメンバーでもある大貫妙子や松任谷由実も含めて、シティポップの元祖と呼ばれることもしばしば。
現代のロックに馴染み深い方にとっては、まだしっくりこない楽曲が多いかもしれません。現代的なタテ乗りは一切なく、古き良き昭和歌謡に感じられるゆったりとした雰囲気を感じることができます。
SUGAR BABEは活動を通じてこの「ソングス [ SUGAR BABE ]」というアルバム1枚しかリリースしていません。しかしこのアルバム、名盤中の名盤です。ワクワクせざるを得ない軽快なイントロから始まる”SHOW”、山下達郎のアルバムにも収録されているキラーチューン”DOWN TOWN”、アップテンポながら終始どこか儚さ、ノスタルジックさを感じさせる”今日はなんだか”、CD版や30周年版にはDEMO楽曲や昔ながらのライブ収録版が入っています。
捨て曲一切なし、当時の若者を中心に熱狂させた音楽がこのアルバムに詰まっています。1970年代の音楽を感じたい方は「風街ろまん」と合わせてぜひ聞いてみてください。
BOOWY – BOOWY
ボウイは1981年から1988年まで活動したロックバンド。
さて、1980年代に突入すると今の若者に馴染みの深いロックサウンドが日本で流行り始めます。その始祖的存在がこのBOOWYでしょう。このバンドも1981年からわずか7.8年で活動の幕を閉じましたが、邦ロックを語る上では欠かせないバンドの1つです。
世間的に有名なメンバーはボーカル・氷室とギター・布袋でしょう。氷室のルックス、少ししゃがれた味のある声、何と言っても圧倒的なカリスマ性は世の女性のみならず男性をも熱狂させました。一方、布袋は抜群のソングライティング、演奏としてはセンス溢れるギターリフを中心に注目を集めます。
この2人に注目を集めがちですが、ベースの松井、ドラムスの高橋を忘れてはいけません。バンドサウンドの根底を支えるリズム隊にふさわしい、ギターとボーカルが目立つにふさわしいプレイングに徹しています。昨今では、技巧派のバンドも目立ちますが、BOOWYのようなシンプルな構成、派手なエフェクトはないもののスターダムにのし上ったバンドがいたことも忘れてはいけないでしょう。
そんなBOOWYの名盤はバンド名と同じく「BOOWY [ BOOWY ]」。ライブでは欠かせない、キャッチーなキラーチューン”DREAMIN’”に始まり、”唇にジェラシー”、ファーストシングルである”ホンキー・トンキー・クレイジー”でA面を締めくくります。B面は、布袋ファンのギタリストでは弾けない人はいないほど特徴的なギターリフに始まる”BAD FEELING”、甘酸っぱい歌詞・ノスタルジーな背景を想像させる”CLOUDY HEART”に終わります。
名曲揃いの1枚、現代のロックの息吹を感じさせる名盤です。ぜひ手に取ってみてください。
FUGITIVE – EARTHSHAKER
アースシェイカーは1978年関西にて結成されたハードロック・へヴィメタルバンド。
続いて、1970,1980年代、日本にハードロック・へヴィメタルを広めた功労者、EARTHSHAKERから「FUGITIVE」というアルバムを紹介します。
FUGITIVEは、1984年に発表されたEARTHSHAKERのセカンドアルバム、1980年代に起きたバンドブームを席巻した一組であるアースシェイカーの出した一枚です。こちらも名曲揃いのアルバム、代表曲”MORE”やアルバムタイトルにもなっている”FUGITIVE”は定番曲として今でもライブで演奏される機会を多く見ることができます。
ただ、今回特にオススメしたい楽曲は”22時”というロックバラード。とても綺麗で切ない曲に仕上がっており、サビに向かって盛り上がる展開は見事としか言いようがありません。バンドのリーダーである石原慎一郎(通称シャラ、Gt.)のパワーコードに縛られないコード進行と西田昌史(通称マーシー、Vo)の高い歌唱力とのバランスが程良く、ずっと聞いていられます。
バンド自体は紆余曲折ありながら今も存続しています。メンバーの方々はもうすぐ還暦を向かえますが、勢力的に活動を続けられていて、コアなファンが多く全国に存在しています。
DEAD END – GODIEGO
ゴダイゴは1975年に結成されたプログレッシブロックバンド。
次に紹介するGODIEGOはジャパニーズプログレッシブロックのパイオニア的存在。当時、プログレといえばKing CrimzonやYes、Pink Floydなどイギリスのアーティストがほとんどでしたが、GODIEGOは日本にてプログレッシブロックを確立しました。
オススメしたいアルバム「DEAD END / GODIEGO」は、レコーディング時間に500日かけて作られたロックオペラの名作。A面の一番最初は”時の落とし子”という星空を感じさせるような曲ではじまり、次に突如、殺人を感じさせるような曲に変わります。それから「袋小路」をテーマとした”デッドエンド”につながり、天国を感じさせる”御国”へと変貌します。
なぜ、この曲順になったのかはわかりませんが、音響エンジニアを担当したGODIEGOのベーシスト、スティーヴ・フォックスの考えがあってのことと思います。とにかく一度聴いたら忘れられない名曲ばかりです。B面になると「死」や「暴動」を表現としたものへと変化し、終焉を迎えます。
GODIEGOは現在も活動していますが、全盛期当初はファンも含め今では味わうことのできない熱狂を感じることができました。年齢もあり、昔に比べて雰囲気は落ち着きましたが、演奏技術は天下一品。ぜひライブに行ってみてください。